2015/12/15

仕事なんて選ばなければなんぼでもあるさ(?)

いきなり別件なんですけど、以前に書いた移民をめぐる価値観と制度で紹介した情報ソースにロシア国営ニュースRTを参照したソースがあり、バイアスがかかっているので現状をきちんと描けてないことに気が付きました。RT、Sputnik、イランの国営系メディア(あとたまにCNN)は事実を報道してる時と歪曲している時がまちまちなので、参照元として使う時は何通りかの方法で裏取りしたほうがいいと思うようになりました。これは近々訂正します。



さて本題。Helsingin Sanomatの雇用情勢に関する秘密調査がガッカリするような、失笑してしまうような何とも印象深いものだったので共有します。まとめると、件数が増えても質が悪化しているということのようです。

以下、秘密調査の方法と要領。4カ所の職業安定所において3ヶ月間オープンになっている求人案件を集計したところ、その合計は365件。求人者と偽って記者がメール・電話で問い合わせを行い、求人内容を確認し、ある程度話が進んだところで求人企業に本当の身分を明かす、という流れ。

調査の結果、確かに求人は存在し、調査開始からたった3時間で「口頭・メールでの基本事項の合意、面接の調整までできたもの」が6件。内訳はタクシー運転手、清掃作業者、プリンターのインクトナー販売者などなど。こういった募集ポジションは通年募集されており、すぐに埋まらないものとして知られているようです。それらを分類すると4タイプになる模様。

1つ目の分類は就業までにトレーニングが必要なもの。例えば看護師や調理師。調理師の求人は通年豊富にあり、一方で看護師の募集は少ないとのこと(=件数は少ないが1年を通じてある一定数の募集がある)。

分類の2つ目は商品を仕入れて販売する上で、自分でスモールビジネスを立ち上げることが要求されるケース。3分類目は業務委託販売。ヘルシンキが位置するウーシマー県(日本で例えると東京都?)における求人案件の約55%はこの第2・第3に分類される。

起業や委託販売は全員にとっても魅力的な仕事ではないはずなので、就職活動を始めたばかりの人はさぞ面食らうでしょうね。職安の求人案件は、(少なくとも今のところは)自分が投資する時間と機会に見合うリターンが少ないものが多いということのようです。

第4分類は、総じて薄給の仕事。パートタイムや派遣契約、または無期限ではあるもののベースサラリーが低いなど。いくつかの清掃請負起業では1時間あたり10ユーロで清掃員を募集しているとのこと。ある会社では清掃員をパートタイム1000ユーロ/月、フルタイム1600ユーロ/月で募集しており、これらの水準は、フルタイムの賃金で働いても首都圏の平均給与の半分以下となるレベル。パートタイムでは首都圏でギリギリ生活できるライン(1500ユーロ)にさえ届かないとのことで、実際には「最低でも」時給12ユーロ以上ではないと難しいのが現状。1500ユーロで何とかシェアフラットで暮らせて、2000ユーロぐらいからやっと自分の家が借りられる、というのがヘルシンキの相場。

最後に2年間ずっと失業中という女性のコメントが乗っており「ずっと募集があるポジションは、最低生活水準以下の給与のものばかり」だそうです。現在、失業手当を月530ユーロ(税引き後・手取り額)でもらっていて、月給1200ユーロ以上のものがあれば進んで働きたいとのこと(以下、記事内には書いてませんが、失業手当が少なくても、失業者に対しての家賃・その他優遇があるのでそれで何とか暮らせているという意味っぽいです)。こういうのは中央ヨーロッパでよく見られる現象かと思っていました。もうこの感じだと、世界中どこも同じなのかもしれません。



以下動画は、ヘルシンキのどこかの地区で食糧配給を待つ人の列の様子。

8 件のコメント:

  1. こんばんは。北欧大学院留学を考えている日本人大学生のものですがお話うかがわせていただけないでしょうか?

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    1. もちろん良いですよ!公開してよいトピックが含まれるなら、その部分はここで書きませんか?そうすれば他の読んでる方にも参考になると思います

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  2. ありがとうございます。
    私は現在大学四年で国際学を専攻しております。卒業後は大学院の進学を考えていて、北欧の大学院に魅力を感じました(授業料無料が主な理由)しかし、IELTSのスコアが思うように上がらず現在OA5.5しかありません。そこで、北欧には英語クラスを経てからの入学を認めている大学院はあるのでしょうか?また、メディア学やコミュニケーション学、国際経済などの分野に興味があるのですが、どこかそういった専攻でおすすめの大学院等ございましたら教えていただきたいです。

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  3. 今のところ、北欧の中でもフィンランドに興味があり、アアルト、ヘルシンキ、オウル、トゥルク大学などの上位ランクの大学への進学を検討しています。

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  4. 英語クラスを経てからの入学の件を調べなかったので、残念ながらあるかどうかわからないです。そのような経緯で入った人 (英国大学院で言うconditional offerを経て入学された方)に会ったことがないので、もしかしたら無いのかもしれません。まずはStudy in Finlandのサイト (Google検索で出ます)で調べるのをお勧めします。その他システムについての疑問について、僕は志望大学に直接問い合わせる事が多くそれでだいぶ疑問が解決しました。

    授業料が無料という点、2017年から有料になることが決まり、簡単に言うと非EU民を対象に各大学最低1500ユーロ/年を徴収するそうです。詳しくはYLE news Englishでtuition feeを検索キーワードにして調べれば出ます。

    学費無料を重視されるのであれば、ノルウェー、ドイツ、スペインにもそういった大学院が多数あるようです。

    卒業後はフィンランドで就職を検討されてますでしょうか?以下、余談なりますが現在のフィンランド経済成長率はEU最低レベルでギリシャよりも悪いです。アート、マーケティング、その他ビジネス系の人材は供給過多で特に就職が難しい状況のようです。それらの分野では欧州や北米で経験を積んだ求職者数も多く、彼らの英語レベルはネイティブと見分けがつかないレベルであることも多いので競争は激しいです。卒業後にどの国&どんな職種で働くか熟考をおすすめします。一方で、まだ就業できる可能性がある分野はIT系、医療、福祉系の職業です。あくまで私の主観ですが、EU圏外の外国人で就職が比較的うまくいっているケースはこの3分野な気がします。

    興味をお持ちの分野にあまり詳しく無いのですが、そういった分野は総じてヘルシンキorヘルシンキ近郊に位置する大学が強いです。アールト大やヘルシンキ大はビジネス系・メディア系の学部と学生数も多く、所属大学/大学院の学生に限定した就職フェアも年何回かあります。もしメディア系の一部としてジャーナリズムもお考えならユヴァスキュラ大にもそういった分野があります。

    国際経済かどうかカリキュラムをよくお調べになった方が良いと思いますが、アールト大、ヘルシンキ大は経済学部があり、フィンランド国内で市場規模が最大の首都に位置しているので、卒業後の仕事探しという観点でこの2校は良さそうですね (他フィンランド地方都市と比べて)。

    学術分野・産業分野によってはヘルシンキ以外が集積拠点となっているケースもあり、IT系で例をあげるとノキアとマイクロソフトがいくつかの開発拠点をオウルに持っているようです。少し脱線しましたが、ご自身の産業分野を考えて学ぶ国・都市を選ぶのも一つの手ですね。

    やはり卒業後にどうするか?が一番大切だと思います。学問分野、学ぶ国、その国の労働市場をよく調べることをお勧めします。(卒業後は日本に戻る想定でしたらすみません)

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  5. コミュニケーション学について書き漏らしてました。私が学部を検討していた2012 - 2013当時、オウル、アールト、ヘルシンキ、トゥルク、ユヴァスキュラにそのような学部がありました。どこが良い悪いという情報があまり出回っておらず、各学生に聞いてもコースの特色・専門分野で選ぶものなので優劣はつけがたいと思われます。ただし客観的事実として、卒業生がどのような企業、団体、上位学問組織に進んだかということは調べられるはずです。例えば、アールト大は卒業生の紹介ページが比較的容易にみつかります。卒業生&進路についてあまり記載がない学部は実績が乏しいかPhDの準備コースとして位置付けられている可能性があります。

    Twitterで卒業生を探し、直接聞くという方法も有効です。プロフィール欄で卒業大学・学部を明記している人がたまにいるので、検索で絞り込みその方にダイレクトメッセージで質問するという方法です。

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  6. 初めまして
    突然ですが、
    ブログはもうやめられたのでしょうか?
    帰国なさっているのでしょうか?

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    1. 初めまして!まだいますよ!

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