2011/12/15

コミュニティ内の少数派

フィンランドのスウェーデン語地域に住む移民の記事を、フィンランドのYLE(フィンランド国営放送)サイトで見つけた。反移民感情が強くなる北欧や北ヨーロッパで暮らすメリットと苦労が少しわかった。


スウェーデン語を話すソマリ系フィンランド人/アーメッドに聞く
http://www.yle.fi/uutiset/news/2011/12/meet_ahmed_a_swedish-speaking_finnish_somali_3088061.html


メリットの1つ目として、「複数のアイデンティティを持つこと」がある。アイデンティティの数だけ、社会やコミュニティとの接点が多くなる。現に彼は、フィンランド人であり、ソマリ人であり、スウェーデン語話者地域で暮らすフィンランド人でもあり、かつイスラム教徒でもある。このことは、自分自身と社会に多様性、独創性、クリエイティビティが生まれ、フィンランドが得意とするデザインに関連し、発展しているようにも見える。

2つ目としては、社会の少数派(マイノリティ)の中で暮らすことで、人種差別や偏見が少ない環境に身をおくことができる、ということ。実際に彼の友達でフィンランド語話者地域で育った友人は人種差別を受けたことがあったそうだ。スウェーデン語話者地域のフィンランド人のように、少数派である苦労がわかる人たちの方が差別が少ないというのはうなずける。


社会学者のリチャード・フロリダによると、社会に革新をもたらし、成長を促進させる人たち(クリエイティブクラス)を集める要因があるとすれば、それは「その都市におけるゲイの比率」だと言及している。それは、「性的嗜好が異なる人たちをも受け入れる寛容性が高い社会こそが、新しい価値観を受けれることができるクリエイティブで革新的な都市といえる」ということらしい。ゲイについて、ヘルシンキやフィンランド内の他都市がどれだけ当てはまるかは不明だ。けれども民族や言語、アイデンティティが異なる人たちを受け入れ、国営放送機関で報道を行うフィンランドにも、少なからず共通する部分があるように思う。



関連リンク:
クリエイティブ・クラス
Amazon.co.jp: クリエイティブ・クラスの世紀: リチャード・フロリダ 著, 井口 典夫 訳 
Swedish-speaking Finns


0 件のコメント:

コメントを投稿