写真/サウナの新しいデザインコンセプトを提示するラウラさん。フィンランド人はやっぱみんなサウナ好き。
先日書いてた
イベントのレビューです。
感想から言うと、「もう少し具体的な事例と詳細を聞きたかったなー」かな。
World Design Capital Helsinki 2012の開催紹介がメインで、ラウラ・サルヴィリンナさんの経歴やWorks紹介では無かったのですよ…。でも有益な部分はあったかな。質問もできて、新しいことも知れたし、いいか。で、僕としての今回の収穫は
フィンランド人は日本の「料理」「テーブルウェア」「食器」「情報デザイン」に興味がある
フィンランド人は、日本人の方が「素材」に対する理解が優れていると考えている
グラフィック、プロダクト、パッケージはもとより、デザインが価値発揮できる分野は広い
この3つが知れたことです。要は、上記が『フィンランドで日本人が価値発揮できる部分』ということじゃないかと。この発言を引き出せたくだりは、おいおい以下に書いてく事としましょう。まずは講演会の様子から。
「デザインを植物のように、生活のなかに植えること」の語源
冒頭でラウラさんが「Embedded Design」という言葉を使って教えてくれました。そうか、これが日本語意訳されて「デザインを植物のように…」になるんだな、と。具体的にはこういうことらしい。
Embedded Design means finding solutions to citizen's needs through innovative design and user-driven perspective. Embedded Design in Helsinki brings together human needs, aesthetic qualities and functionality.
(『組み込まれたデザイン』とは、モノだけでなく、日常のサービスや社会の仕組みもデザインすることです。使いやすさ、持続性、魅力をキーワードに、ユーザー視点を持ち、先駆的なデザインを通じて人々のニーズに応えていきます。)
ふんふん、単にグラフィックデザインだけではないと。上記をテーマにして、デザインに関する展覧会、ワークショップ、講演会などをヘルシンキを中心にしてやっていくそう。
「中心」と書いたのは、その他の都市でも関連イベントを随時開催していくからだそうだ。ミラノ、ベルリン、ロンドン、サンクトペテルブルグ、台北、東京。ヘルシンキ以外でも見られるものはあるけど、できたらヘルシンキに来てね!ということらしい。
台北が入ってることにちょっと驚いた。それだけ、日本以外のアジア都市の台頭は進んでるんだろう。デザインにおいて東京が評価されて今回関連イベント開催となったとも見えるが、むしろ「人口が多く、波及効果が高い」「渡フィンしてお金を落としてくれる」という目論見の方が大きくも見える。
東京は10年以上後もまだ世界最大級の都市だという話もあるらしいけど、人口規模とかお金とかいう理由で選ばれたくないよね。願わくばクリエイティビティで選ばれたいところ。
デザインの力で、住みやすい街、使いやすいサービスをつくる
ちょっと話がそれてしまいました。
来年からの開催に先駆けて、ヘルシンキでは各地で展示会、行政サービスデザイン、果ては地区の再開発まで手がけているらしい。デザインの定義が広いなーと思ってたら、案の定、こういう分野をデザインの力で変えていきたいという解説もあった。
For us, there is Design in,
Public service
Education system
Transportation
Science
Business
Urban Planning
(もっとたくさんあったけど早口すぎて聞き取れず…)
その中でUrban planning(都市開発)プロジェクトとして現在進行中のものが「ヘルシンキ南港地区開発」というもの。これは、かつて工場や倉庫街であった海辺の街を、デザインの力を取り入れて魅力的に再開発するという内容だ。
写真/再開発対象となるヘルシンキ西部(湾岸エリア、写真内の手前)についての説明。現在は使われていない工場街だとか
写真/再開発地区内の建物デザイン。敷地内車道には「フェンスが道路上に置いてあるかのような、減速喚起アート」などデザインの力で暮らしやすさが作られる
写真/今回のデザインがカバーする面積。ちょっとイメージがわかない(笑)
このあたりが冒頭で書いた「抽象的」という部分ですよ(別にキレてはいないんですけど)。確かに今から始動するプロジェクトについて具体的には言えない部分もあるんだろうけど、いかんせん概要説明が大きすぎた。デザインで何をどうしていくのか、いつまでに完成させて市民が使えるものにするのか、そこのDetailはまだ話せる段階ではないそうだ。
その他にも「教会の改修プロジェクト」や「図書館による、学習プロセスの支援」サービスの構築などの話もありました。詳細があればなお良しだけど、プロジェクト名だけでもやっぱりいいものができそうな雰囲気はあるよね。さすがフィンランド。このへんのことは、後で自分なりにネット探索してみようか。
講演後の質疑応答。フィンランドで、日本人が価値発揮できそうなことを探る。
みんな World Design Capital ついての質問をどんどんしていく中、僕もタダでは帰らないぜ!という事でこんな質問を質問をしてみました。
僕:
「デザインとビジネスの観点で、フィンランドの方が日本に対して注目していることは何でしょうか。また将来的には、どんな分野で日本とフィンランドがつながりを持てそうでしょうか。」
ラウラさん:
「まず1つ目の質問としては『料理』『テーブルウェア』『食器』『情報デザイン』の分野にあたると思います。日本の繊細な料理はフィンランドでもとても人気がありますし、料理ということを通じてデザインで表現できる部分は多いと考えています。あとは情報のデザイン。テクノロジーと言う意味とは異なる、編集の力とでも言いましょうか。また今後、という質問ですがフィンランドは『素材』について日本人から学ぶ部分が多いのではないかと考えています。例えば木工素材やガラス、などの素材を指しています。その素材をどう活用するか、まで含めてね。私たちフィンランド人にもその感覚はありますが、日本人の方が優れているように感じますね。」
そうか…。「料理」とか「素材」ね。なんだか解かる気がするような。でも僕が価値発揮できる部分でないかな。僕のヨメはむかし料理人だったので、もしかしたら僕よりヨメの方が可能性があるのかも。
少し光が見えて嬉しかったのは「情報デザイン」という部分。あえて漠然とした質問をしてみたから、回答も大きく解釈して応えてもらった訳だけど、自分が経験してきた「広告デザイン」や「コミュニケーション設計」の部分でつながりが見い出せた気もしました。
僕としては良い回答がもらえて、今後の(移住計画の)攻めどころが見えてきた気がします。これを取っかかりにして、今後の方向性(留学の専攻分野とかね)を絞り込んで行こうかな。
World Design Capital(WDC)Helsinki 2012
http://wdchelsinki2012.fi/en