2011/07/28

フィンランドの住宅事情(ヘルシンキ編)

学校見学をしながらちょいちょい不動産屋さんの物件をながめてました。

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こちらはヘルシンキの物件。フィンランド語だらけで大部分わからないんだけど、「65㎡」「間取から2DKっぽい」ということはわかる。で、肝心の価格はと言いますと…

Mh. 435.257,95€
Vh. 436.000€

むむむ、全然わからん。その2つの価格差は何なの?内税?外税?
ひとつ、予備知識で仕入れてわかっていたことは、フィンランドでは小数点以下では「,」を使い、100の位の区切り記号としては「.」を使うということだ。つまり「Vh. 436.000€」というのは436ユーロではなく、436000ユーロなのだ。じゃあ、436000ユーロって日本円でいくらぐらい?と言いますと…


436000ユーロ×112円=4883万2000円
(レートは2011.7.27時点)



高!65㎡の2DKごときで!
そう。そうなんです。住宅費の高さに関しては、フィンランドのヘルシンキはヨーロッパでも群を抜いているそうです。まぁ、立地と住宅設備によってはこれでもいいんでしょうが、それにしても高い。日本なら都心でも3LDK・駅徒歩5分ぐらいのいいマンションが買えそうです。



じゃ、この流れでもう少しヘルシンキの物件を紹介してみましょう。

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パリっぽい外観の2LDK・82㎡(広め)、6160万円。本文中の「1883」は建った年なのかな。



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二人暮らしぐらいにちょうど良さげな59.6㎡、玄関入ったらすぐキッチン!の斬新間取り。4088万円。高すぎる…。



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これは狭い!36㎡の、実質ワンルーム。2072万円。



しかし、僕のこの計算は合ってるんだろうか。その前に、この価格は分譲の不動産物件の広告ってことで理解してるんだけど、合ってるんだろうか…。高すぎて、全部が不安だ。

フィンランドには住みたいけど、ヘルシンキだけには住みたくないなーと実感した物件情報の流し見体験でした。次回は地方都市、ユヴァスキュラの不動産レポートでいってみようかとおもいます。(気が向いたら)



おまけのコーナー

フィンランドで借りたウイークリーマンション的な物件の紹介レポートです。2日で3万円台だったっけなー?広めの2LDKで、かなり快適でした。



で、こちらが家の中。



興味ある人は、物件名(と言うかホテル名?)と価格を教えますー。
(支払明細を見て確認します)

文化面で保守主義を持つ国

ノルウェーテロ容疑者、「理想の国」日本や韓国 : 国際 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

容疑者がどういう定義で保守的と言ってるか知らないが、確かに日本にはイスラム系移民が少ない。しかし、言葉通りの「文化面で保守主義を持つ国」ではないと思う。それでは群馬、埼玉に多い日系ブラジル人労働者街の説明がつかない。クリスマスも祝うし、初詣もにも行く。うちの近所のチャーシュー麺出してる中華屋さんのとなりにはモスクが建ってて、仲良くやってる様子もうかがえる。(この例はちょっと違うか)。日本は今後、このノルウェーのような問題に直面するんだろう。時期がまだ来ていないだけで。

日本がこれまで移民に大きく頼らず(労働力不足にならず)にやってこれたのは

①国全体で長時間労働が常態化
②高齢者の高い労働力比率
③生産過程のオートメーション化、省力化

以上3つが大きな背景になりそうだ。しかし、今後はこの3つすべてが崩れ、どうしても移民が必要な状況になると思われる。(移民受け入れに賛成か反対かを別として)

国全体で長時間労働が常態化
昨今問題視されているように、被雇用者の頭数を増やして、一人あたりの長時間労働を削減する方向にシフトするだろう。もしくは一人ひとりの生産性向上。もっとありそうなのは、人件費の安い国への工場と労働力の移動。

高齢者の高い労働力比率
もはや高齢者に働いてもらうだけでは回らなくなると言われている。高齢者が高齢者を介護する無理も既に生じているし、別の問題になるが、高齢者が働いて収入を得ていても、長期的な消費財(住宅など)の市場は伸びて行かない現象も起こる。また、高齢者はこの先病気になるのかならないのか、何年生きるかわからないので貯蓄に走る傾向が高いと考えられる。つまり労働力に占める高齢者比率が高まると、消費が比例して伸びない。よって、若い労働力が必要→今から出生率が増えても、すぐ労働力にはならない→移民の必要性。

生産過程のオートメーション化、省力化
1990年代までは、オートメーション化による労働力の埋め合わせがうまく機能していた。しかし、90年代以降、購入者のニーズは多様化、消費を通じて自己主張する人も増加。日本の製造業は大量生産型から多品種少量生産へと生産形態を転換させた。それは同時に労働過程の転換も意味する。消費者の多様な需要に応えるためには、市場動向に合わせて頻繁に生産調整を行う必要がある。多品種展開となると、機械に任せきりではなく、人の手による調整・切り替え・代替が必要となるシーンが増える。
ここで、短期的に調整可能な労働力が必要になる。従来は、非正規雇用や主婦がその役割を担っていたが、契約期間が短く、流動的な仕事は避けられるようになった。これに対し、現在日本で働く移民の方々は条件を厭まず受け入れる傾向があるため、調整可能な労働力として企業に受け入れられた。これが、一部の業種で移民が受け入れられている理由かもしれない。今後、この「多品種少量生産」は他業界でも同じ現象が起きると思われるため、移民の必要性はますます高まると思う。

ノルウェーは、日本より何年も先に上記なような問題に遭遇してきた。その解決策が移民受け入れだったり、社会保障制度の整備だったりするのだろう。
日本も、徐々に移民数が増えていくことになると思う。言われる通り日本が保守的(?)ならば、今回のような事件が起こらないよう、教訓にしなければならない。

2011/07/21

パツパツのスパッツ

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写真/Tampere市内。キャッツアイばりに歩き去る3人

ヘルシンキに限らず、フィンランド中で黒スパッツをはいてる人をよく見かけた(と言っても北部フィンランドは見てないんだけど)。すれ違う女性の8割ぐらいスパッツじゃないか!?というぐらいに遭遇率が高かった。

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写真/Helsinki市内。男以外全員またスパッツ


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写真/デニムかなと思ったらスパッツ。Tampere市内

なぜか、フィンランド以外ではこういう合わせ方をした人をあまり見ない。スパッツの上にあわせるのはふわっとしたワンピースとかじゃなくて、やっぱこういうタイトなシルエットのほうがかっこ良いと思うんだけどな。

2011/07/20

学校見学 - JAMK University of Applied Sciences

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写真/JAMK University of Applied Sciences の Head Office(メイン校舎)

学校/学べる内容
2つ目の学校見学はフィンランド中部の街、ユヴァスキュラ。フィンランド国内にある大学のうち、英語でビジネス系の学科(学士)の講義が行われる数少ない学校だ。

英語で受講できる学士は以下の通り。
Music and Media Management
Facility Management
International Business
Nursing
Logistics Engineering

学科詳細/Music and Media Management
僕はこの中のMusic and Media Managemaentに興味を持っている。学べることを要約すると、『音楽イベントや音楽業界を題材に、メディアを活用しての事業プラン、イベントプロデュース、プロモーションを行いビジネスを創出する』、ということらしい。学科概要を読む限りでは決して楽器の演奏や経験が問われるものでないようだが、自分の理解力(英語力)で本当にその解釈で合っているのか不安が残る。
http://www.jamk.fi/english/education/musicandmediamanagement

入学試験
ハードルがかなり高そうだ。
・音楽業界に着いてまとめられたエッセイを読解し、意見を述べる(英文で作成)
・MusicもしくはMediaに関係する自分のPortfolio(個人の作品集)を提出
・IELTS score academic level 6.0 またはTOEFL score 213 computer-based
(以上の入試要項ページは、学科募集期間の終了により現在は閲覧できない)

試験会場
フィンランドか中国のどちらかを選べとある。(タンペレ大学の場合、日本国内で申請と入学審査の手続きがすべて完了するが、この学校は違う)
http://www.jamk.fi/english/education/howtoapply/entranceexaminations

学校見学の予約
事前予約を入れて学校を見に行こうと、日本にいた時からコンタクト(メール)をとってみたがまったく返事がなかった。というか、他のどの大学に問い合せてもすべて返信なし。こんなのでフィンランドの大学を目指すの大丈夫か?と心配になったが、後で調べてみると、ちょうど学休期間だったようだ。(にしても後で返事がほしいところ)

郊外すぎて2時間近く歩くはめに
で、実際に大学を見つけるのも一苦労。タクシーで行けばすぐだったんだけど、周辺環境も見たくて歩いていくことに。30分ぐらいで行けるはずが、到着まで2時間弱かかってしまった。なんせ校舎が3つも4つもあるので、どれに行けばいいか解らない。公式サイトにもその記載なし。

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写真/大学を探して歩く夫婦ふたり。建物名の表示はあるが、すべてフィンランド語なので判断がつかない

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写真/進めば進むほど建物がまばらな郊外に

親切な大学生に助けてもらった
「Do you need help?」と声をかけられたのは、JAMKの校舎入口をじーっと見て「ここで合ってるんだろうか…?」と迷っていた時だった。その大学生は(見た感じ)18才ぐらい、金髪の白人でたぶん現地育ちのフィンランド人だ。フィンランドで困った顔をしてると、こんな風にちょくちょく声をかけられることが多い(僕の地顔が困り顔なのだろうか)。

彼女は校舎に入っていこうとして、たままた僕が何か探している風だったから声をかけてみたとのこと。こっちも「すごく助かる!」ということで「学校見学に来ていて、Head OfficeでAdmmision(入学手続担当)の人に会いたいと思ってる」ということを伝えた。そうすると、たぶんここ、という話で地図で行き方を示してくれた。さらに、「念のために確認してあげるわね」と校舎の中の適当な先生を捕まえて、入学担当者の部署があるかどうかの確認もとってくれた。

すばらしい。僕よりたぶん10才以上若いのに、英語はペラペラだし、受け答えは完璧。そして美人。音楽学科でフルートを学んでいると言っていたかな。あんな子がいっぱいの学校なら、毎日楽しいんじゃない!?というような事を言っていると、ヨメに冷たい目でにらまれた。

到着。なんだか「専門学校っぽい」


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写真/JAMK University of Applied Sciences の校門 (sign board)

その「専門学校」っぽいというバッチリな写真が無いのだが、色んなものを総合してみるとなんだか専門学校っぽい。それもそのはず、この学校はUniversityと学校名に入っているが、分類としてはPolyTechnics(専門大学校)に入る。内容も大学のように理論と研究寄りではなく、実践寄りだ。
学士の学科名からも具体的で実践的な事柄が多いのがうかがい知れる。「Modern Art」とか「Design」というような、大きなくくり名称だけでの学科は存在しない。

雰囲気重視?
ちょっと不安なのが、本質より、雰囲気重視な空気を感じるところだ。学科のひとつ、「Logistics Engneering」のページでは、生徒がフォークリフトに載っているシーンがあるのだけど、それは学科のコアでは無いはず。むしろ、在庫管理システムの構築や、倉庫内の生産性向上とかがコアになるはず。なのにフォークリフトに乗ってるとこがメイン画像だなんて。僕の興味がある学科がMedia Magagmentなだけに、Mediaをちゃんと使いこなせてないところが気になった。
あと、学校紹介パンフやWebに感嘆符(コレね→「!」)が多いのが目立つ。「!」を付けることで、インパクトが増すとでも思ってるんだろうか。これも僕の思い違いで、いい学校だといいんだけど。

入学オフィスの担当者に質問
メインの校舎に入ってからは案外簡単にコトが進んだ。中央案内所で担当者名を探してもらい、すぐオフィスに通してもらう。僕が疑問に思っていたことは質問してすべてクリアになった。
・僕は日本の専門学校卒だが入学資格はあるか?
・International Baccalaureateという資格が必要と記載があるが、これは必要か?
・僕はMusicのEducational Backgraoudが無いが入学資格として問題ないか?
・試験はどこで行われるか?
・この学科の卒業生はどんな仕事についているか?
・フィンランドの、ここユヴァスキュラでの生活費はどれぐらいか?

少し不安が残るものの、この学校は行きたい学校の有力候補として僕の中で残ることになった。引き続き、来年度の募集を見て追いかけていこう。


JAMK University of Applied Sciences
http://www.jamk.fi/english/

2011/07/19

景気を読むことのくだらなさ


via headlines.yahoo.co.jp

中国のバブル崩壊は不可避=今のうちに対策を―在米韓国人学者 (Record China) - Yahoo!ニュース
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110719-00000001-rcdc-cn

中国バブルの崩壊は、誰もがある程度予想している。
問題はいつ、どんな形で訪れるかだ。そうなる時は、中国からの観光客でにぎわう日本の観光地や、中国の日系企業の苦戦は必至だろう。いつまで大丈夫そうか、どの業界に影響が大きいか等、先読みは非常に難しい。
世の中は周期的に変動している。ニーズに合わせて人生を送ることや、常に細かい変化に合わせていく生き方では、ほんとうに自分が求めている人生を送るのは難しい。なぜなら、現時点の社会の変化に合わせていても、必ず5年から10年で周囲の環境や価値観は変わるからだ。

だから、「この先どうなるか」ではなく「この先、どこで(どんな国で)自分は何がしたいか」をしっかり決めることが大事になると思う。

2011/07/14

移民になるということは、どういうことか

Finfo_logo
画像/移住者のインタビューコンテンツ配信、移住の相談受付業務を行う FINFO service のロゴ

実際に移住した人の生の声とかないのかなー?と思って探したら、意外とカンタンに出てきましたよ。それも動画で。
数ある国からの移住者インタビュー動画の中で、いちばん感銘を受けて納得できたのがこのネパールからの移民、シュレスタさん。発言がいちいちごもっともだ。

Bipin Shrestha | Finfo (インタビュー動画&文字起こし英文)
http://www.finfonet.fi/personal-experiences/nepalese/bipin-shrestha

かなり丁寧に回答してくれていて、簡単にまとめるとこうなる。

・時としてマイナス30度にもなる寒さはやっぱりアジアからの移民としてツライ
・フィンランド語は非常に難しい
・言語を理解できないと、文化を理解できない。文化を理解できないと、人々を理解できない
・フィンランド人はそっけなく見えるが、接するうちにそれが彼らの接し方なんだと気付いた。
・気がつくのに時間はかかったが、フィンランド人の中身はとてもあたたかい。
・核家族が高齢者の世話をするネパールと違い、政府がケアするシステムが素晴らしい
・しかし祖父、父、息子といった一族で暮らす習慣がなくフィンランド人は少し個人主義
・「家族の在り方」がネパール人にとって馴染みにくい部分かも
・フィンランドの「どこ」に行くかが問題。北部(ラップランド)と南部(ヘルシンキ等)は就ける仕事が違う

そして、いちばん「そんな経験もしたの!?」とビックリしたのが以下だ。(意訳)

「おおかたのフィンランド人は流暢な英語を話すが、政府機関を訪問し、移住の手続きを進めようとすると『私は英語が話せない』と(事務員が)英語で言う。これは暗に、移民を積極的に手助けしたくないのだと思った。だがもし、バーで同じフィンランド人に出会っていたとしたら、彼は英語で受け答えをしてくれるのでしょう。これが移民にとって辛い部分です。それさえなければ、良かったのですが。」

なるほど、こういうの確かにありそう。差別ではないんだろうけど。一部のフィンランド人にとっては、移民は(国内の)仕事を奪っていく脅威の存在なのかもしれないし、大事にしているフィンランド文化が、もしかしたら移民によって侵食されてしまうかもしれない。そして現地の人に危機感を持たれると、フランスのブルカ禁止令みたいなのが発令されてしまう。

移民って、その国に溶けこんで一員になるべきなんだろうけど、反面、フィンランド人には無い能力や価値発揮をしないと、フィンランドで仕事はめぐってこない。(フィンランド人と全く同じことしかできないなら、フィンランド人を雇うほうが雇用主も安心だろう)
何を強みとして勝負するか(どんな仕事で食っていくか)、その強みはフィンランドで重宝されるものか。日本人であることが特徴や強みになるのか。やりたい事と、求められることのバランスをどう取って日銭に変えるのか。こうやって考え出すと、夜が明けそうだw 何で勝負するか、それはまた別の機会にまとめることにしよう。

このシュレスタさんはレストランを経営しているということだが、母国の特色を出しつつ、ビジネスやしきたり線引きはフィンランドに従い、バランスを取ってるんだろうな。ぜひ会って、知らない国で暮らしていく心意気を伝授してもらいたい、って感じ。


そしてシュレスタさんは、いい一言でインタビューを締めくくってくれる。

「人生はどこでも同じであり、ここフィンランドにも(移住前の母国にも)それなりの問題とメリットがある。」


2011/07/13

In need of aid


via www.helsinkitimes.fi

Financial Aid についてよくまとめられているHelsinki Times の記事。外国人の場合はどうすればいいのかな…。後読。

Lost in the Finnish system? | Finfo


via www.finfonet.fi

移民向けの雇用・社会保障・教育・医療・住宅情報などを提供するサイト。
このサイトの一番の売りは「体験者の声」。様々な国からの移民が、フィンランドに来て良かったこと、良くなかったこと、母国の移民検討者へ宛てたアドバイスなどが動画で公開されている。

2011/07/12

数字で見るフィンランド


論ずる前に、ということでフィンランドを数字で多面的に見てみる。


フィンランド概略


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写真/ヘルシンキ中心部のエスプラナディ通り近辺。平日・週末問わずそんなに人は多くない

「フィンランド(フィンランド語の国名:スオミ)はヨーロッパ北部に位置しています。人口は520万人、面積は日本(377,829平方キロ)よりやや小さい338,000平方キロです。首都ヘルシンキと首都圏地域を含む人口は956,800人です。」
フィンランド大使館より抜粋

→面積は日本より少し小さく、人口は北海道の(約552万人/平成22年)より少し少ない。ちなみに東京圏の人口は約1000万人。


税率


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写真/街のアイスクリーム屋さん。2スクープ&コーンで450円ぐらい

税金が高いと言われる北欧の中でもかなり高い部類に入る。ただし、品目によって税率は異なり、安いものであれば5%、嗜好品の側面が強いものには最大の22%程度の消費税が課される。
びっくりしたのは現地に行ってフィンランドの人に聞いた所得税の話だ。カフェでたまたま隣にいたおじさんだったのだが「フィンランドの税金について簡単に言うなら、だいたい所得税50%、消費税22%ってとこかな。でも授業料・医療費無料だし老後の貯金が無くても暮らせるから誰も文句言わないんだよ」とのこと。
むむむ、納得できるような、できないような…。


教育


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写真/ユヴァスキュラ郊外の公園で遊ぶ子どもたち。みんな元気に外で遊んでるのに、めっちゃ白い

フィンランドを語る上でいちばん特徴が出るのが教育だ。ちょっと遅めの7才で小学校入学となるにもかかわらず、OEDC(経済協力開発機構)が2003年度に実施した学習到達度調査で、フィンランドの中学生は世界トップの成績を納めた。しかも、授業時間数は調査に参加した国の中で最も少ない。
授業方式の点で言えば、本気で落ちこぼれを作らない補修講師や授業アシスタントの存在も大きそう。優秀な人材を作る、というより、学習進捗が遅い子供たちに焦点を当て、全体のレベルを底上げするように工夫していることが各国比較で優位に結果が出たせいかもしれない。授業内容においても、答えから式を想像させて記入させる算数の授業に代表されるように、物事の過程を考えさせるやり方が重視されている。これにより、応用力のある子どもが育っているのだろう。


教育における社会保障


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写真/Kela(フィンランドの社会保障庁)が発行する移民向けパンフレット


フィンランド人が子どもから大人になるときや、外国からの移民が最初に税金のありがたみを知るのがFinancial Aid(政府からの経済援助)の存在だ。簡単にまとめると
・原則、フィンランドに住む人が対象(学習を主目的としない居住ビザを持つ人)
・帰化移民、親族のつながりでの滞在、仕事での滞在者も対象
・学費援助として月額最大298ユーロ
・住居補助として月額最大201ユーロ
・ローンとして月額最大300ユーロ(希望者のみ)

フィンランド人およびEU市民なら、学費自体はどこも無料なので、学習に付随する出費に充当されるというのが実際のところだろう。
Financal Aid については、HelsinkiTimesのIn need of aidの記事が詳しかった。
なお、Financial Aid自体をハンドリングする行政機関としてはKelaという機関があり、Financial aid for foreign studentsに詳しく条件が出ている。


GDP/国内総生産


国内総生産(GDP : Gross Domestic Product)とは、一定期間内に国内で産み出された付加価値の総額。ストックに対するフローをあらわす指標であり、経済を総合的に把握する統計である国民経済計算の中の一指標で、GDPの伸び率が経済成長率に値する。Wikipedia参照
[世] 名目GDP(USドル)の推移(1980~2011年)の比較(フィンランド、日本)
単位:10億 USドル

人口がベースとなるため、大国と小国の対比のように見えてしまうが、2国ともここ30年の成長度はほぼ変わらない。両国とも30年で約5倍に成長した。日本は乱高下が激しく、市場が不安定に見えるが、言い換えればフィンランドの数字が小さすぎて安定しているように見えるだけのことだ。

両国の成長率(GDP)
フィンランド        53億ドル(1980年)→260億ドル(2011年)
日本                1071億ドル(1980年)→5821億ドル(2011年)


GDPデフレーター指標


GDPデフレーター =の計算式は名目GDP / 実質GDP。推移がプラスならインフレ、マイナスならデフレ傾向にあると見ることが出来る。
[世] GDPデフレーターの推移(1980~2011年)の比較(フィンランド、日本)
単位:10億 USドル

興味深いのは「日本は90年代半ばから10年以上物価が安くなり続ける現象が続いている」ということ。消費者が安くものを買えるのはいいが、競争が激化し、企業収益が少なくなる分、労働分配される富も少なくなっている。簡単に言うと、売値が安いから企業は儲からず、従業員の給料が上げられない状態が続いている」ということかもしれない。給与が上がらず人口も増えない→消費も増えない→企業による値下げ・購入喚起攻勢→デフレという現状ともとれる。
この富と労働分配の話はここで論ずると長くなるから、また別の機会に掘り下げるとする。

ひとり当たりのGDP


これは国民ひとり当たりが1年間でどれだけの価値創出ができたかを示す指標。人口の多い少ないに左右されず、GDPその国のポテンシャルを適切に測ることができる。
[世] 一人当たりの名目GDP(USドル)の推移(1980~2011年)の比較(フィンランド、日本)
単位:10億 USドル

比較すると、日本もフィンランドも現状はさして変わらない(フィンランド/44,488ドル、日本/42,820ドル、2011年度)。冷涼で年中農業や牧畜ができる土地でないにも関わらず自動車メーカーもなく、家電類の多国籍企業がぼんぼんとたくさんあるわけでもないのに、日本と同じぐらいのGDPとはとはちょっとびっくりした。この図を見てひとつ気がついたのは、今のフィンランドと日本は、「中国vs日本の構図と真逆」であるということだ。

・中国は日本よりGDPが高いが、一人当たりGDPは日本の10分の1以下
・フィンランドのGDPは日本の約20分の1だが、一人当たりGDPは日本とほぼ同額。

中国、日本、フィンランド。どの国の物価も違うし、税率や社会保障も違う。どの国が優れているか一概には言えないが、フィンランド人が生産性の高い国民であることは間違いなさそうだ。

※以上図表データの出典:IMF - World Economic Outlook(2011年4月版より)


いろいろポジティブなことが並びすぎてしまったので、次回か次々回あたりはフィンランドの「失業率」と「長時間労働」について書いてみます。
では、今日はこのへんで~

2011/07/07

学校見学 - University of Tampere


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写真/タンペレ大学内のカフェテリア

写真がナゼか食堂始まりですんません。
雨で大学外観があまりキレイじゃなかったのと、授業中の教室の威圧感がなかなかだったのでココを撮っときました。


タンペレに来たメイン目的は「遊び!」

ここに来た理由は、タンペレにある北欧最大級のマーケットホールkauppahalliなるものを見に行こうとヨメと話していたからだ。(けっきょくkauppahalliは期待以上の店構えじゃなかったんだけどね…。小さい商店街って感じ)


タンペレ駅から徒歩10分。Hotel Holiday Innから徒歩5分。

そんな感じで遊びでフラっと来てみたタンペレで「そういえばタンペレ大学ってあったよな~」と思いだしてホテルからの距離を調べてみたら奥さん!歩いて5分ぐらいじゃありませんか!ということでどんよりした雨の中、そんなに濡れずにたどり着けました。
ちなみにそんな雨の中で撮った外観写真がこちら。どんより~。

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テクノロジーとサイエンスに強い大学に潜む、文系のコース
フィンランドの大学はデザイン系かテクノロジー系かのどっちかが強くて個性が際立ってることが多い。人文系とかそういうのは少ない印象かな。で、ご多分に漏れずタンペレ大学も以下のようなコース構成になっている。(紙の入学案内・WEBより)

大学院(Master)
Master's Degree Programme in Bioinformatics, M.Sc.
Master's Degree Programme in Human-Technology Interaction, M.Sc.
Master's Degree Programme in Interactive Technology, M.Sc.
Master's Degree Programme in Software Development, M.Sc.
Master's Degree Programme in User Interface Software Development, M.Sc.
Master's Degree Programme in Comparative Social Policy and Welfare, M.Soc.Sc.
Master's Degree Programme in Peace, Mediation and Conflict Reasearch


ね?おもいっきり理系でしょ。でもって僕は文系。さらに院ではなくて学部を目指そうと思うので(学部は無料・院は有料)、すごすご諦めて帰ろうかと思っていた矢先、以下のコースを学内の入学案内で発見した。

大学(学部/Bachelor)
Bachelor of Social Sciences/Major subjects: International Relations, Journalism and Mass Communication, PoliticalScience, Social Policy, Women’s Studies

上記の詳細→ Bachelor of Social Sciences 2008-2012 (PDF)

おぉ!、これぞまさに興味がある内容!しかも英語での講義!という訳で、今のところ進学先の有力候補のひとつとなっております。
来年以降もちゃんと募集があるか、そこが一番心配ですが…。
(2011年度の募集は締め切られ、現在は募集が行われていない)


使用する教科書名も紹介されているから、学ぶ内容がイメージしやすい
このシラバスっぽい学部紹介PDF(Bachelor of Social Sciences 2008-2012)、大学に置いてあったパンフレットに記載のURLを見つけて、その場でネット検索して見つけたものです。英語で読解するだけで難解極まりました。
現地に来て、WEBを検索してるってなんか変な感じ。。。けどよく読むと、使用する教科書名も載ってるじゃないか!
どんなものか見たいので、さっそくAmazonのKindle Storeで教科書(電子書籍)のサンプル盤をダウンロードしてみました。ネットがあるだけでここまで細かい情報が入手できるとは。おかげで、どんな内容の授業で、どこまでの英語レベルが必要かもイメージつきましたよ。
英語はかなりがんばらんといけん感じです。


入学資格/試験

日本人の場合、学部(Bachelor)受験は高校卒業資格、大学院受験(Master)は大学卒業資格があれば資格としてはOK。で、肝心の選考試験は、なんと「無い」らしいのです。今は募集が終わってしまって、その一文がページから削除されているんですが、「申請書類により選抜を行い通知します。入学試験(entrance examination)はありません。」とクッキリ明記されていたのです。ビックリですよね。ラッキーと思いつつ、これはBasicのポテンシャルが相当高くないと、入学が難しいなという焦りも感じています。
僕なんか、いま働きながら大学に行ってる状態で、現状では「専門学校卒」だし、いまの大学の成績もそんなに良くない。(仕事オフの日にちょこっと勉強して試験受ける程度) アジアやロシア、中東からの入学者(が多いらしい)状況の中で選考通過できるのかちょっと気になりますよね。
で、話は戻って「選考書類により選抜する」という部分ですが、これにはもちろん英語力の照明書類の添付が必要です。
英語力の条件としてはここに記載があり、

TOEFL, Test of English as a Foreign Language; 90/Internet-based, 575/paper-based
IELTS Academic, International English Language Testing System; 6.5 with no individual score below 5.5

となるそうです。
今までTOEICと英検しか受けたことがないので、この条件を聞いてもキョトーンですが、まずはTOEFLを今年中に受験してみるのが目標になりそうですね。


選考を有利に進めるために

入学試験がない以上、結果を大きく左右するのは英語力になりそうです。なのでこれからの短期目標は英語力の習得ということになります。もしかしたら、来年度の募集にはエッセイの提出も求められたりするかもしれないので、英語で考えをまとめる力、表現する力も身につけたいと思っています。
うぅむ、なかなかハードだ。



大学の入試オフィスを訪ねてみた


が、なんと担当者が全員不在…。そりゃそんな時もあるわな。なんせ予約もせずに来ているわけだから。(ちなみに他に見学した3校へはメールで学校見学のお願いメールを送ったが、返事は無かった。なので、タンペレ大学にはアポ無しで行った)
仕方無しにGeneralInformationDeskのひと(おばちゃん)としゃべってみたり、たまたま通りすがったFinance担当者(スカーレット・ヨハンソン似)に、入試オフィスの担当者名を聞いておいた。
「明日かあさってにまた来てみれば?」とも言われたが…。ずっとフィンランドに居るわけじゃないんでねー。。。



おまけ

カフェテリアの様子です。なんか日本のとそんなに変わんないねー。むかし、明治大学の学食に行ってみたことがあったけど、そこの学食に仕組みがソックリだ。

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写真/レジの様子。好きなモノをお盆にとって会計へ。学生は確か2.5ユーロでVisitorは5ユーロ(だった気がする)。おかわりは無料&自由



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写真/白身魚のフライのタルタルソースがけ&サラダ。なんか味が薄い…。タッパーに入れて、もう1人前持って帰る学生もいた。食費の節約!




以上、タンペレ大学でした。
University of Tampere http://www.uta.fi/english/



では今日はこのへんで~。
次回はたぶんユヴァスキュラ大学レポートです。

2011/07/04

Finlandの大学を目指す


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写真/University of Jyväskyläのエントランスラウンジ

その国をよく知るには、言葉と文化をよく知ることから。
この自然な(?)流れから、その国の大学に行ったほうがいいなと思うようになりました。

なんの前準備もなく、すぐフィンランドで働けるなら、そりゃあソレが一番いいですよ。でも万一仕事が見つかっても、言葉や考え方、その国の基本的なルールがわかってないとすぐ壁にぶつかってしまうしね。


現状の整理も兼ねて、5月に調べて・実際に見てきたことをまとめてみました。


フィンランドの教育制度

日本同様に高校を卒業していれば入学資格があります。これは外国人も同じ条件。(日本やフィンランドと異なる教育システムの国から来る場合はInternational Baccalaureateが必要な場合あり)

Universityに関しては以下の学位が存在。

大学(学士/Bachelor’s Degree) 3~4年間
大学院(修士/Master's Degree) 2年間
大学院 博士課程(doctoral degree)2~5年程度

違いとしては、学士取得に必ずしも4年間必須としていない事と、大学と大学院の線引きがあまりなく、研究を続け、大学院に籍をおきながら働いている人もいるそう。


Polytechnics と Polytechnics Degrees


Universityと並列に、Polytechnicsというものも存在、日本語で言うと「技術専門大学」とか「応用科技大学」といったとこでしょうか。大学院に相当するものとしてはPolytechnics Degreesというものがあり、さらに上位過程としてはPolytechnics post-graduate Degree(技術専門大学研修生)というものまであるらしい。

このPolytechnicsに関しては制度や特色をまだまだリサーチ中。



University と Polytechnicsの違い

この事をはっきり明記している文献にまだ出会ったことはない。ちなみに、僕がいま務めている会社になんとフィンランド人がいるので聞いてみたところ

・Universityは理論や研究
・Polytechnicsは実践的で各職種に必要なスキルが学べる

ということらしい。たとえば、次世代の携帯や通信の技師になりたければPolytechnicsに、その通信システムのさらに次世代版自体を構想したり、地域に配備するような構想が好きならUniversityに。、と言ったところだろうか。
これはデザインを例にとっても同じ。実践的で手に職を目指した商業デザイナーを目指すか、デザインの概念や分野ごと新しく構想したり体現するか。そんな感じだ。
外国人のためのフィンランド留学についてはフィンランド政府運営のStudy in Finlandで情報が得られる。(交換・正規留学ともに)
大学・大学院・Polytechnicsへの出願についてはStudy in Finland内のここに詳しく載っている。



授業料

フィンランドは少し前までフィンランド人も外国人もすべて無料で受講できたが、現在では修士(大学院)に限って、EU圏外の外国人には授業料課金を始めたそうだ。(一部大学が試験的に。全大学ではない)
うーむ、これはアセる。制度変更で全て有料になってしまわんうちに早く渡航せねば…。

フィンランドの大学制度・授業料について、日本語で詳しく述べられてるwebとしてはフィンランド発!留学カウンセラー日記等がある。フィンランドで代表的な大学の特色が大いに参考になった。


次回は、5月に実際に見てきたフィンランドの各大学の様子を書こうと思う。