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2011/07/28

文化面で保守主義を持つ国

ノルウェーテロ容疑者、「理想の国」日本や韓国 : 国際 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

容疑者がどういう定義で保守的と言ってるか知らないが、確かに日本にはイスラム系移民が少ない。しかし、言葉通りの「文化面で保守主義を持つ国」ではないと思う。それでは群馬、埼玉に多い日系ブラジル人労働者街の説明がつかない。クリスマスも祝うし、初詣もにも行く。うちの近所のチャーシュー麺出してる中華屋さんのとなりにはモスクが建ってて、仲良くやってる様子もうかがえる。(この例はちょっと違うか)。日本は今後、このノルウェーのような問題に直面するんだろう。時期がまだ来ていないだけで。

日本がこれまで移民に大きく頼らず(労働力不足にならず)にやってこれたのは

①国全体で長時間労働が常態化
②高齢者の高い労働力比率
③生産過程のオートメーション化、省力化

以上3つが大きな背景になりそうだ。しかし、今後はこの3つすべてが崩れ、どうしても移民が必要な状況になると思われる。(移民受け入れに賛成か反対かを別として)

国全体で長時間労働が常態化
昨今問題視されているように、被雇用者の頭数を増やして、一人あたりの長時間労働を削減する方向にシフトするだろう。もしくは一人ひとりの生産性向上。もっとありそうなのは、人件費の安い国への工場と労働力の移動。

高齢者の高い労働力比率
もはや高齢者に働いてもらうだけでは回らなくなると言われている。高齢者が高齢者を介護する無理も既に生じているし、別の問題になるが、高齢者が働いて収入を得ていても、長期的な消費財(住宅など)の市場は伸びて行かない現象も起こる。また、高齢者はこの先病気になるのかならないのか、何年生きるかわからないので貯蓄に走る傾向が高いと考えられる。つまり労働力に占める高齢者比率が高まると、消費が比例して伸びない。よって、若い労働力が必要→今から出生率が増えても、すぐ労働力にはならない→移民の必要性。

生産過程のオートメーション化、省力化
1990年代までは、オートメーション化による労働力の埋め合わせがうまく機能していた。しかし、90年代以降、購入者のニーズは多様化、消費を通じて自己主張する人も増加。日本の製造業は大量生産型から多品種少量生産へと生産形態を転換させた。それは同時に労働過程の転換も意味する。消費者の多様な需要に応えるためには、市場動向に合わせて頻繁に生産調整を行う必要がある。多品種展開となると、機械に任せきりではなく、人の手による調整・切り替え・代替が必要となるシーンが増える。
ここで、短期的に調整可能な労働力が必要になる。従来は、非正規雇用や主婦がその役割を担っていたが、契約期間が短く、流動的な仕事は避けられるようになった。これに対し、現在日本で働く移民の方々は条件を厭まず受け入れる傾向があるため、調整可能な労働力として企業に受け入れられた。これが、一部の業種で移民が受け入れられている理由かもしれない。今後、この「多品種少量生産」は他業界でも同じ現象が起きると思われるため、移民の必要性はますます高まると思う。

ノルウェーは、日本より何年も先に上記なような問題に遭遇してきた。その解決策が移民受け入れだったり、社会保障制度の整備だったりするのだろう。
日本も、徐々に移民数が増えていくことになると思う。言われる通り日本が保守的(?)ならば、今回のような事件が起こらないよう、教訓にしなければならない。

2011/07/14

移民になるということは、どういうことか

Finfo_logo
画像/移住者のインタビューコンテンツ配信、移住の相談受付業務を行う FINFO service のロゴ

実際に移住した人の生の声とかないのかなー?と思って探したら、意外とカンタンに出てきましたよ。それも動画で。
数ある国からの移住者インタビュー動画の中で、いちばん感銘を受けて納得できたのがこのネパールからの移民、シュレスタさん。発言がいちいちごもっともだ。

Bipin Shrestha | Finfo (インタビュー動画&文字起こし英文)
http://www.finfonet.fi/personal-experiences/nepalese/bipin-shrestha

かなり丁寧に回答してくれていて、簡単にまとめるとこうなる。

・時としてマイナス30度にもなる寒さはやっぱりアジアからの移民としてツライ
・フィンランド語は非常に難しい
・言語を理解できないと、文化を理解できない。文化を理解できないと、人々を理解できない
・フィンランド人はそっけなく見えるが、接するうちにそれが彼らの接し方なんだと気付いた。
・気がつくのに時間はかかったが、フィンランド人の中身はとてもあたたかい。
・核家族が高齢者の世話をするネパールと違い、政府がケアするシステムが素晴らしい
・しかし祖父、父、息子といった一族で暮らす習慣がなくフィンランド人は少し個人主義
・「家族の在り方」がネパール人にとって馴染みにくい部分かも
・フィンランドの「どこ」に行くかが問題。北部(ラップランド)と南部(ヘルシンキ等)は就ける仕事が違う

そして、いちばん「そんな経験もしたの!?」とビックリしたのが以下だ。(意訳)

「おおかたのフィンランド人は流暢な英語を話すが、政府機関を訪問し、移住の手続きを進めようとすると『私は英語が話せない』と(事務員が)英語で言う。これは暗に、移民を積極的に手助けしたくないのだと思った。だがもし、バーで同じフィンランド人に出会っていたとしたら、彼は英語で受け答えをしてくれるのでしょう。これが移民にとって辛い部分です。それさえなければ、良かったのですが。」

なるほど、こういうの確かにありそう。差別ではないんだろうけど。一部のフィンランド人にとっては、移民は(国内の)仕事を奪っていく脅威の存在なのかもしれないし、大事にしているフィンランド文化が、もしかしたら移民によって侵食されてしまうかもしれない。そして現地の人に危機感を持たれると、フランスのブルカ禁止令みたいなのが発令されてしまう。

移民って、その国に溶けこんで一員になるべきなんだろうけど、反面、フィンランド人には無い能力や価値発揮をしないと、フィンランドで仕事はめぐってこない。(フィンランド人と全く同じことしかできないなら、フィンランド人を雇うほうが雇用主も安心だろう)
何を強みとして勝負するか(どんな仕事で食っていくか)、その強みはフィンランドで重宝されるものか。日本人であることが特徴や強みになるのか。やりたい事と、求められることのバランスをどう取って日銭に変えるのか。こうやって考え出すと、夜が明けそうだw 何で勝負するか、それはまた別の機会にまとめることにしよう。

このシュレスタさんはレストランを経営しているということだが、母国の特色を出しつつ、ビジネスやしきたり線引きはフィンランドに従い、バランスを取ってるんだろうな。ぜひ会って、知らない国で暮らしていく心意気を伝授してもらいたい、って感じ。


そしてシュレスタさんは、いい一言でインタビューを締めくくってくれる。

「人生はどこでも同じであり、ここフィンランドにも(移住前の母国にも)それなりの問題とメリットがある。」